コンケン大学留学体験記

堀内 充

  おそらくこの体験談を読んで下さる方は、留学に少し興味がある人もしくは、コンケン大学への留学が決まった人だと思います。なので、これを読んで下さった方がもし、ますます留学へ行きたくなって頂けるのであれば幸いです。
   まず、コンケンとはタイのイーサーン地方(東北地方)の中心都市の名前です。日本でいうと仙台にあたるでしょうか。しかし日本の東北地方とは異なり、首都のバンコクよりも暑く、また4月は1年で最も暑い時期ということもあり、留学中に何度か日中の気温が42度になりました。しかし、平日はエアコンの効いた病院内におり、休日も日中はカフェやショッピングモールの中にいることが多かったので、実際に42度の外気にさらされることは少なかったです。

救急車

 実習についてですが、僕は救急科を選択し、選んで正解だったと思っております。症例は、感染症、敗血症、外傷を多くみることができました。また、心不全、糖尿病、肺癌などの基礎疾患の増悪といった日本でもcommonな症例ももちろん多かったです。中でも糖尿病を合併している患者の多さには驚きました。タイの食べ物は、非常に辛いか非常に甘いか両極端で、デザートやスイーツも多いので、これも原因の一つではないかと考えます。感染症はレジオネラ症やノカルジア症など、日本では珍しい症例も、タイでは珍しくないとのことでした。例えばレジオネラ症は、農家の方が裸足で農作業をしているため、感染するとのことです。また、タイではバイクが非常に多く走っており、ヘルメットをせず2人乗りや3人乗りをしていることが多いため、外傷もバイク事故によるものがほとんどでした。このように、多くの症例を勉強させて頂けたのは大きな収穫でした。医療機器は日本とそれほど変わりませんが、日本のようにCTやMRI検査を多くの症例に対し行うのではなく、エコーやX線だけで診断することが多かったです。
   そして、先生方もとても親切です。簡単な英語で症例について解説して下さったり、何度も食事に連れて行って下さったり、果物やコーヒーを頂いたりしました。医師だけでなく看護師も優しく、医師が忙しいときは看護師もタイ語で書かれたカルテを、英語に翻訳して下さいました。タイの先生方も日本人留学生に慣れてはいますが、一度日本の学生は手技ができないのはなぜ?といった質問をされました。タイでは医師の数が日本よりも圧倒的に少なく(人口比で日本の9分の1)、学生も人手不足のために、胸腔穿刺や動脈血ガスなどといった医療行為を行うとのことでした。

留学の様子1

 また、医師も看護師も仲良く救急科の雰囲気はかなり良かったです。忙しくないときは皆で楽しんでいますが、患者さんが立て続けにやってきて忙しくなると、キビキビと働く切り替えの上手さにも驚きました。日本だと仕事中暇だからといって、例えばゲームをしたり、YouTubeを視たりしていたとなると問題になりますが、タイでは問題ではありません。ここで、日本の仕事への丁寧さもここで改めて感じるとともに、タイでの寛容さや時間の使い方の柔軟性も感じ、両方とも一長一短ありますがいいことだと感じました。このように何気ない例からも新たに日本を見つめ直すことができ、これも留学の醍醐味の一つだと思います。(あまりピンとこなければごめんなさい)

留学の様子2

 休日や、実習が終了してから帰国するまでの間、観光もすることができました。タイの友人やコンケン大学のスタッフの方に、寺院や国立公園やレストランなど様々なところへ連れて行って頂きました。写真の湖はNam Phong National Parkです。綺麗で面積も大きいですがダム湖です。さらに何気ない街の散策でも、タイは現在急激な経済発展を遂げているため、日本でも最先端なものもあったりする一方で、まだ発展途上国の部分もあったりと、時代が混在しており面白かったです。
   感想としては、「楽しかった」という一言に尽きます。最後になりましたが、素晴らしい機会を与えてくださった先生方、国際交流センターの林さん、現地でお世話してくださった先生?スタッフ?学生、日本人留学生、様々な役立つアドバイスをくれた先輩や友人達、全ての方々に感謝しております。

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